あなたは普段、正しく座れていますか? 実はあまり意識されない人が多いのですが、「正しい姿勢で座る」ことは、首・肩・腰への負担を減らし、体型を保つために、非常に重要な要素なのです。
オフィスや在宅ワークでお仕事をされている最中はもちろん、普段お家で過ごすときのダイニングチェアに座るときでも、座る姿勢作りは美しい体型を作るために非常に重要になります。
しかし姿勢を意識するだけでは姿勢作りはうまくいきません。椅子の座り姿勢に対して最も大きな影響力を持っているのは、座面の高さなど椅子の設定の仕方です。
女性の体型改善の専門家であるパーソナルトレーナーの筆者が、正しい姿勢を保ち、肩・腰への負担を減らし、体型崩れを防ぐための椅子の設定の仕方をお伝えします。
■姿勢が崩れると体型が崩れる
体型が崩れる原因は、運動不足や食習慣だけにあるわけではありません。日常生活での姿勢も、体型崩れの大きな原因になります。
以下のイラストの中央のように理想的な姿勢だと、お腹は平らになりやすいのですが、左右の猫背・反り腰と呼ばれる悪い姿勢になると、どちらもお腹がぽっこりと出てきます。
ですから、体型を維持していくためには、姿勢を整えていくことが非常に重要になります。
それに大きな影響を与えるのが椅子です。
■「座っている時間」は一日で一番長い
特にデスクワークの方は、一日の中で「椅子に座っている時間」が最も長いのではないでしょうか?
勤務時間の8時間のうち、大半は座ってデスクに向かって作業をしていませんか?
他にも同じ姿勢をとり続けるものとして「睡眠」がありますが、毎日8時間眠る方の方が少ないですよね。
ですから、座り姿勢は体に与える影響が最も大きいと考えられます。座っている間ずっと悪い姿勢でいたら、その姿勢が定着し、立った時の体型にも大きな影響を与えると考えられます。
■こまめに立ち座りを繰り返すのが最良
椅子による姿勢の悪化を崩さないためには、こまめに立ち座りを繰り返すことが最も効果的です。
ずっと同じ姿勢でいると筋肉がガチガチに凝り固まってしまい、その姿勢が定着してしまいます。時たま立ってストレッチをすることが最も効果的です。
しかしそれ以外でも、できるだけ体に負担のかからない良い姿勢を作ることで体型崩れを予防でき、かつ肩や腰への負担も減らすことができます。
良い姿勢を作るためには、良い姿勢を意識するより、良い姿勢が自然ととれるよう促すように椅子をセッティングすることが大切です。
■良い姿勢を作るためには細かい設定が可能な椅子が理想的
以下、良い姿勢を作るために、細かい椅子の設定の仕方について解説します。
良い姿勢を作るために理想的なのは、座面や肘掛けの高さを細かく調整できる椅子です。今回の記事で例として利用したものは、高機能オフィスチェアと呼ばれるものです。
しかし、現実的にここまで細かく設定をできる椅子は稀です。そのため、それらの調整機能がなくてもどうすれば良い姿勢を作れるのかについても解説いたします。
■良い姿勢が保てる椅子のセッティングの仕方
良い椅子のセッティングとは、どのようなセッティングなのでしょうか?
良い姿勢を保つための椅子のセッティングで気をつけることで特に重要な2点は、「座面の高さ」「肘掛けの高さ」です。
(1)座面の高さ
最も大事なのが座面の高さです。これが適切でなければ、椅子に適切な姿勢で座っていられなくなり、寄り掛かりすぎるような姿勢になったり、股関節が曲がりすぎて余計に硬くなってしまいます。
座面のもっとも適切な高さは、太ももが地面と並行でスネが地面に対してほとんど直角を作った時に、靴を履いた状態で足の裏が全体が地面に触れている状態です。
座面の高さOK例
この状態を作ることで、椅子によるもも裏の過剰な圧迫を減らし、下半身の過剰なむくみを軽減することにつながります。
座面の高さNG例
間違った椅子の高さは、以下のようになります。
座面が低すぎると股関節が過剰に曲がり、筋肉を硬くして姿勢を崩してしまう原因になりますし、高すぎるとももの裏が圧迫されてむくみにつながったりします。
ですから、椅子の高さが調整できる場合は、しっかり足の裏がつく高さにセッティングしましょう。
(2)座面の高さが調整できない場合
椅子によっては、高さが調整できないこともあるでしょう。
もし座面が低すぎる場合は、クッションを乗せて座る高さを上げると良いでしょう。
その場合のクッションは、柔らかすぎると良い姿勢を保ちにくいので、お尻・もも裏が痛くならない範囲で柔らかすぎないものを選ぶと良いでしょう。
また、元々の椅子の高さが高すぎて足の裏が全て触れられない場合は、フットレストを使いましょう。
筆者は以前、合っていない椅子を使っていた時に、フィットネスアイテムのフォームローラーをフットレストがわりに使っていました。
現在は、座った時に適切な高さに調節するために、少し底が厚めのスリッパを履いています。
フットレストはAmazonなどでも安いものをたくさん売っていますし、こうしたフォームローラーや100円ショップに売っている足ツボ機のようなものでも構いません。
(3)肘掛けの高さ
もし肘掛けがあり、高さが調整できるのであれば、適切な高さに調整しましょう。
肘掛けの適切な高さは、腕をだらんと真下に下ろしたときに、肩から肘までの長さよりもちょっとだけ高い位置に設定すると良いでしょう。
もちろん上の写真の肘掛けの高さは、低いためNGです。
適切な高さは以下の通りです。
低すぎると肘掛けを使うために猫背になってしまいますし、高すぎると肩がすくんで怒り肩になってしまいます。
肘掛けの高さが低すぎる場合は、外付けのクッションをAmazonなどで売っていますから、それを買って調整しましょう。
肘掛けの高さが高すぎる場合は、まず座面のクッションで座高を高くし、足元はフットレストやスリッパ等で調整しましょう。
(4)肘掛けがない場合
肘掛けがない場合は、デスクに前腕を置くことになると思います。
その場合、背筋を伸ばしたときに、肘は肩よりも少し前になり、肘は机と同じ程度の高さにすることをオススメします。
肘とデスクの高さOK例
肘とデスクの高さNG例
肘が適切な高さに置かれなければ、非常に負担がかかる姿勢で作業をすることになります。
■まずは腕の高さと机の高さを合わせよう
良い姿勢を作り、快適に作業をするために、最も大切なことは腕と机の高さが合うことです。
ほとんどの場合、机の高さは変えられないでしょうから、まずは机の高さに対する理想的な腕の位置を考えると良いでしょう。
そうすると、椅子の座面や肘掛けの高さが合わないことが起こりますが、机の高さは変えられませんから、腕と机に合わせて、座面の高さや肘掛けの高さを、クッションを置くなどして調整しましょう。
その上で脚が浮いてしまうなどした場合は、フットレストなどを利用して足の高さを調整しましょう。
「椅子への座り方」の体への影響は、非常に大きいと考えられます。良い姿勢を保つことは、体型崩れの予防と肩こり・腰痛予防に繋がりますので、ぜひ自分が座る椅子を上手にセッティングしてください。
(パーソナルトレーナー 藤本 千晶)
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