花粉の飛ぶ季節に、喉の痛みやかゆみなどを感じた経験はありませんか?風邪薬を飲んでもなかなか治らない場合、それは花粉症によるものかもしれません。
一年を通して何らかの花粉が飛んでいる昨今、常にマスクや西洋薬が手放せない方も多いのではないでしょうか。
今回は医師の木村眞樹子さんに、花粉症によって起こる喉の痛みの理由と、その対策方法について教えていただきました。
■花粉症で喉が痛くなるのはなぜ?
花粉症で喉が痛くなるのは、アレルゲンである花粉が喉の粘膜に付着して、喉の粘膜に炎症が起こることが原因です。また、喉の奥に鼻水が流れてくると、喉の粘膜上で細菌やウイルスが増殖し、炎症が起こる場合もあります。
さらに、花粉症によって鼻が詰まった場合は口呼吸をしやすくなるため、喉の粘膜が乾燥して炎症を起こしてしまう場合もあります。粘膜の潤いは、アレルゲンやウイルスなどから身を守ってくれる天然のバリアなのです。
更年期は花粉症の症状が重くなりやすい
更年期になって、例年よりも花粉症の症状がつらいと感じる方は多くいます。また、急に花粉症になってしまったという方も。
なぜなら、更年期には女性ホルモンの分泌量が低下し、自律神経のバランスが乱れるからです。自律神経は免疫機能をコントロールする働きがあるため、免疫のバランスが崩れることでアレルギー症状が出やすくなってしまうのです。
■花粉症による喉の痛み対策3選
では、花粉症による喉の痛みには、どのような対策を行えばいいのでしょうか?3つご紹介します。
(1)抗ヒスタミン薬による治療
花粉が粘膜に付着すると、体内にヒスタミンという物質が放出され、これによりアレルギー症状が引き起こされます。
そこで、ヒスタミンの働きを阻害してくれるのが抗ヒスタミン薬です。病院で処方してもらったり、薬店で購入したりすることができます。
しかし、抗ヒスタミン薬のなかには、眠気や口渇などの副作用を引き起こす可能性があるものもあり、注意が必要です。
(2)こまめにうがいをする
喉や鼻に付着した花粉をすぐに洗い流すことで、花粉症の症状が起こりにくくなります。
こまめにガラガラうがいをすることで、喉の奥に付着した花粉を洗い流すといいでしょう。
また、1日2~3回の鼻うがいをすることもおすすめです。
(3)加湿を徹底する
加湿器を使って部屋の湿度を適度に保つことで、喉や鼻の粘膜が保護されます。
喉や鼻の粘膜が潤っていることで、花粉に対する抵抗力を高めることができます。
また、加湿をすることで空気中の水分と花粉がくっついて重くなり、空気中に舞い上がりにくくなります。
■更年期の花粉症には漢方薬もおすすめ
花粉症対策には、漢方薬の活用もおすすめです。
花粉症は、花粉と体内のIgE抗体が結合し、神経や血管を刺激することで生じます。また、胃腸機能の低下や水分代謝の乱れ、冷えや季節の変動による免疫機能の低下も原因として考えられます。
花粉症対策に用いられる漢方薬には、以下の2種類の役割があります。
・鼻水や鼻詰まり、くしゃみなどの症状を主に抑える
・花粉症などのアレルギー体質を根本から改善する
花粉症に悩む方には、鼻水や鼻詰まり、くしゃみなどの症状を抑える作用に加え、根本から改善するために、以下のような働きを持つ漢方薬が用いられます。
・からだを温め体内の巡りをよくする
・水分の循環をよくしてアレルゲンや老廃物を排出する
・炎症を和らげる
・消化や吸収機能をよくして免疫力や抵抗力を高める
漢方薬は、病気とはいえない不快な症状にアプローチすることを得意としています。そのため、体調のゆらぎやすい更年期の花粉症には漢方薬もおすすめです。
眠気や口渇などの副作用が出にくいことも嬉しいポイントですね。
一般的な花粉症の症状に対する漢方薬をご紹介します。
花粉症におすすめの漢方薬
小青竜湯(しょうせいりゅうとう)
体内の水分の代謝を正常にコントロールすることで、サラサラの鼻水、鼻の粘膜がむくむことで起こる鼻づまりや、咳、アレルギー性結膜炎にも用いられます。
荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)
からだにこもった熱を発散し、腫れや炎症を鎮めることで、蓄膿症や慢性鼻炎、慢性扁桃炎の他、にきびにも効果が認められています。
いろいろと試したけれども、なかなか症状がよくならないという場合には、中長期的に漢方薬を服用して体質から改善を目指すのもいいでしょう。
漢方薬はたくさんの種類があり、そのなかから自分の体質にあったものを選ぶのは難しいものです。体質に合わないものは効果がないばかりではなく、からだに負担をかけてしまう場合もあるので、むやみにあれこれ試すのは注意が必要です。
最近はオンラインで漢方薬の専門家に、自分にあった漢方薬を気軽に無料相談できるサービスもありますので、試してみるのもいいでしょう。
■更年期の花粉症も怖くない!
花粉症以外にも体調の変化に戸惑いがちな更年期ですが、自分にあった対処法を取り入れることで、毎日をより快適に過ごすことができますよ。
困ったときはつらい症状を我慢せず、その道のプロにアドバイスをもらいながら、改善の道を探っていきましょう。
【監修医:木村 眞樹子(きむらまきこ)先生 プロフィール】
医師。医学部を卒業後、循環器内科、内科、睡眠科にて臨床に従事。妊娠、出産を経て、産業医としても活動するなかで、病気にならないからだをつくること、予防医学、未病に関心がうまれ、東洋医学の勉強を始める。臨床の場でも東洋医学を取り入れることで、治療の幅が広がることを感じ、西洋薬のメリットをいかしつつ漢方の処方も行う。また、医療機関で患者の病気と向き合うだけでなく、医療に関わる人たちに情報を伝えることの重要性を感じ、漢方のプロがAIを活用して自分に適した漢方薬を選びお手頃価格で自宅に郵送してくれる「あんしん漢方」でも情報発信をしている。
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