暖かい日が増えたとはいえ、からだの冷えが気になる方も多いと思います。冷えを放っておくと、からだの不調につながることもあるため、しっかりと対策を行うことが重要です。
今回は、薬剤師/理学博士の碇純子さんに、春の冷えの原因と対策について教えていただきました。
■春の冷えの特徴
まずは、春になっても冷えを感じてしまう原因について3つご紹介します。
朝晩の激しい寒暖差
春といえば穏やかなイメージがありますが、実際は気温の変化が非常に激しい不安定な季節です。春は気温が日ごとに変化するだけでなく、日中と夜の寒暖差が激しくなることも多いといわれています。
この急激な気温の変化により、からだの冷えや体調不良が起こりやすくなるのです。
更年期によるもの
女性の場合は更年期になると、女性ホルモンの減少や自律神経の乱れが生じ、冷えを強く感じることがあります。
長期間の冷えは血行を悪化させ、「冷えのぼせ」(手足は冷たいのに上半身はほてった状態)にもつながりかねません。
冬のおこもり生活で運動不足ぎみ
冬場は家の中でこもりがち。運動不足は代謝や免疫力の低下を招き、体調不良を引き起こすこともあります。
運動不足による筋力の低下や血流の悪化が、からだの冷えにつながる可能性も考えられます。
■春の冷えにはこんなリスクも
春の冷えによって血管の収縮や血行不良が起こると、免疫力低下や内分泌系の乱れといったさまざまな悪影響が生じます。
さらにこれらは、糖尿病や高血圧、動脈硬化などの生活習慣病や、冷え性の慢性化など、疾患の原因につながることもあるのです。
■春の冷え予防に欠かせない3つのポイント
冷えによる体調不良を避けるためには、冷えの予防が重要です。ここでは、春の冷え予防に欠かせない3つのポイントをご紹介します。
気候に最適な服装をする
春の冷えを予防するには、下半身を中心に保温することが重要です。厚手のタイツやレギンスをはいて、その上からスカートやワンピースを着用するのがおすすめです。
また、靴下も厚手のものを選ぶか、靴の中にインソールやシープスキンなどの保温アイテムを入れるといいでしょう。
上半身は、カーディガンやジャケットなどの薄手のアウターを羽織り、気温が上がったときに調整できるようにしましょう。
からだを温める食材を食べる
冷えには、生姜、山芋、唐辛子などの食材がおすすめです。
生姜は血行促進や免疫力アップに効果があり、山芋には粘り成分が含まれているため、胃腸を整える効果が期待できます。
また、唐辛子に含まれるカプサイシンには、体内の代謝をアップさせる効果があるため、からだを温める効果があります。
春の冷えには、これらの食材を摂取したり、温かいスープや煮込み料理などを取り入れたりすることが効果的です。
朝一番の運動で代謝を上げる
ここでは、忙しい朝でも5分ほどでできる、簡単な運動をご紹介します。布団の上で行えるので、毎日続けやすい運動です。
(1)四つん這いになり、息を吐きながら背骨が伸びるように背中を丸めます。目線はおへそに向けます。
(2)息を吸いながら背中を軽く反らせます。目線は斜め上にします。
(3)呼吸を意識しながら、これを4〜5回繰り返します。
■春の冷え対策には漢方もおすすめ
春の冷えで不調を感じたら、漢方薬の服用もおすすめです。
冷えの原因としては、気候や気温の変化だけでなく、ホルモンバランスの乱れ、ストレス、運動不足や食生活の乱れなども考えられます。
春の冷えに対しては、下記のような働きをもつ漢方薬が選ばれます。
・心身を温め、冷えを取り除く
・ホルモンバランスを整える
・自律神経の乱れを改善し、血行をよくする
漢方薬は冷え性のような体質を根本的に改善することを得意としています。ホルモンバランスを整えることで、冷えに負けない丈夫なからだづくりを目指しましょう。
冷えにお悩みの方におすすめの漢方薬
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
手足の冷え、それに伴う頭痛やめまい、耳鳴りが気になる方におすすめです。
血流をよくし、余分な水分を排出することで冷えを改善します。
桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
比較的体格がよくて汗をかきやすい方におすすめです。
滞った血液の流れを促進し、更年期障害、肩こり、手足の冷えに用いられます。
慢性的に冷えが気になる場合には、中長期的な服用で体質からの改善を目指しましょう。
また、漢方薬は、症状や体質に合ったものを選ぶことが重要です。症状に合ったものを服用しないと、望ましい効果が得られなかったり、かえって副作用が出たりすることがあります。
漢方薬を服用する前には、漢方薬に精通した医師や薬剤師に相談することをおすすめします。
■冷え対策をして、ワクワクするような春を過ごしましょう
冷えを気にせず春を楽しむには、日頃から冷え対策をすることが大切です。今回ご紹介した3つのポイントを参考に、楽しい春を過ごしましょう!
【監修者:碇 純子(いかり すみこ)さん プロフィール】
薬剤師・漢方薬生薬認定薬剤師 / 薬学修士 / 博士(理学)。神戸薬科大学大学院薬学研究科、大阪大学大学院生命機能研究科を卒業し、漢方薬の作用機序を科学的に解明するため、大阪大学で博士研究員として従事。現在は細胞生物学と漢方薬の知識と経験を活かして、漢方薬製剤の研究開発を行う。世界中の人々に漢方薬で健康になってもらいたいという想いからオンラインAI漢方あんしん漢方で情報発信を行っている。
【前回の記事】
・更年期は春の肌荒れに注意!春のスキンケアのコツ
・春の頭痛をなんとかしたい!すぐにできる対処法&予防策
・春は自律神経が乱れやすい?乱れを整える方法3つ
・体の臭いに変化が!?意外な更年期の症状3つ
【関連記事】
・更年期に●●は逆効果?やってはいけないNG対策
・誰にも聞けない…更年期の陰部のヒリヒリのケア法
・更年期は要注意!口臭がする人のやりがちNG習慣
・スマホの文字が見えにくい!?今すぐできる対策5つ