「夏バテ」とは、かつては暑さで体力を消耗し、食欲が落ちてグッタリするという症状が一般的でした。ところが今は、空調の効いた涼しい部屋で過ごしているのに、「夏バテ」をしたことがある、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
理学療法士で睡眠の専門家の筆者が、今どきの夏バテの原因とその対策についてお伝えします。
■涼しい部屋でも夏バテする理由
「夏バテ」とは、食欲がない・イライラする・寝不足・だるいといった、夏季の高温多湿な気候によって起こる体の不調のこと。
人間の体は、冬から春、そして暑い夏へ、気候の変化とともに、暑さに徐々に慣れていきます。
しかし最近は、気候変動などの影響で5月ごろから暑さに見舞われたり、室内と室外の温度に極端に差があったり。この温度差により自律神経が乱れ、不調を引き起こす場合があります。
また、自律神経の乱れによって胃腸が弱りやすい夏に、冷たいものを過剰に摂ることで、内臓や身体が冷えて胃腸の機能が低下。胃もたれや下痢を引き起こす場合もあります。
そんな現代の「夏バテ」を防ぐために、心がけておきたいことをご紹介します。
■夏バテを防ぐための習慣3つ
(1)薄着は禁物
冷房の効いた室内で長時間過ごす場合は、薄着のままだと体を冷やしすぎてしまう恐れがあるため、注意が必要です。
すぐに羽織れるカーディガンやストールを常備して、必要以上に冷えないように心がけましょう。
また、冷たい空気は下の方にたまります。レッグウォーマーや靴下をはいて、足元から冷えない工夫をすることも大切です。
(2)「スタミナ=肉」はNG!胃腸にやさしい温かい食べ物を
冷えなどで胃腸が弱っているときに、スタミナをつけるために脂たっぷりのうなぎや焼肉などを食べると、胃腸に余計に負担がかかり逆効果となる場合があります。
うなぎや焼肉には、疲労回復に効果的なビタミンB1が豊富なため、確かにおすすめなのですが、胃腸が弱っているときには要注意です。
ビタミンB1は、大豆などのお豆にも豊富に含まれています。茹でた枝豆を温かいままいただくのも良い方法です。
また日本古来の食べ物、味噌汁は栄養価も高く、汗で流れ出たミネラルや塩分も補うことができます。
(3)涼しい時間を使って運動する
運動不足は、身体の不調だけでなく、メンタルにも影響します。適度な運動をすることで、ストレスを発散し、寒暖差で乱れやすい自律神経を正常に戻すことができます。
暑い日中をさけ、早朝の涼しい時間に心地いい程度に運動をすることで、夜の良い眠りにもつながります。
夏休みの朝、子どもたちがラジオ体操を行う風景は、日本の夏の風物詩。大人になった今だからこそ参加してみるのもいいでしょう。
無理をせずに続けられる範囲の運動を行うことがポイントです。
「夏バテ」しないために、日常生活で気をつけたい対策をご紹介しました。「夏バテ」というと暑さだけに目が行きがちですが、冷えにも十分注意することが大切です。日常の中でできる対策を行って、暑い夏を乗り切りましょう。
(著者/講師・理学療法士 矢間 あや)
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