更年期世代のお悩みのひとつでもある「寝汗」や「手足のほてり」。寝汗にお悩みの方は、もしかしたら身体に必要なうるおいが不足しているかもしれません。
うるおい不足と聞くと水分補給が必要なのかと思われるかもしれませんが、薬膳のベースになっている中医学(中国伝統医学)では食べ物からうるおいを補うことが大切だと考えます。
ずぼらだけど国際薬膳調理師である筆者が、寝汗を招くNG食材&寝汗対策のためにおすすめの食材をご紹介します。
■なぜ寝汗をかくのか?
以下の項目にあてはまる方は、身体に必要なうるおいが不足している可能性が高いです。
□肌が乾燥する
□手足が火照る
□暑がり
□冷たい飲み物が好き
中医学ではうるおいを与えるのは陰のグループに属している「水(すい)」という物質の役割だと考え、このうるおいが不足している状態を「陰虚(いんきょ)」といいます。水は身体にうるおいを与えて熱をクールダウンさせる作用をもっていますので、この水が減ることで身体のほてりや喉がやたらと乾く、肌が乾燥するといったお悩みを感じやすくなります。
実は、この陰虚の状態が長期間続くことで身体のうるおいがどんどんなくなると、鍋を空焚きしたような状態になります。すると、手足だけが熱くなったり寝汗をかきやすくなってしまいます。なので、寝汗はうるおいが減っているサインです。
ほてると身体が暑く感じ冷たいもので冷やそうと考えがちですが、それは実は間違い。身体をうるおす食材で身体にうるおいを足すことが大切です。
■寝汗を招くNG食材
身体にうるおいが足りなくなっている方には、身体を温めたり発汗作用があったりする食材はNGです。身体を温める食材で有名な「生姜」「にんにく」「コショウ」「スパイス類」などは身体が冷えている時には相性がいいのですが、寝汗やほてりにお悩みの時に汗をかくとさらにうるおいが少なくなってしまう場合があります。
定番料理で生姜やにんにくを使うものがあったとしても控えて、身体をうるおす食材を中心としたメニューをとることを意識してください。
■身体がうるおい不足の時に必要な食材3つ
(1)山芋
山芋は身体をうるおす効果もさることながら、胃腸系システムである「脾(ひ)」の働きも高めてくれます。脾が弱っていると食材の栄養が吸収しにくいので、せっかく食事に気をつかっていても効果を感じにくいかと思います。
ぜひ、山芋は普段からこまめに食べてください。生でも炒めても、味噌汁に入れても美味しいので、料理のアレンジが幅広いのも嬉しいポイントです。
(2)黒豆
黒豆は身体をうるおす働きがありつつも、不要な水分を排出する働きがあります。ほてりを感じるがむくみも感じるという方には黒豆がおすすめです。
黒豆を食べたことがない方は、まずは黒豆茶で気軽にとり入れてみましょう。そのほか、蒸してある黒豆も売っていますので、サラダに入れたりスープにちょい足ししたりして食べてみてください。
(3)ほうれん草
肌が乾燥するし血色感もよくないと悩む方におすすめしたいのがほうれん草です。身体にうるおいを与えながら肌に血色感を与える働きがあります。
いつものほうれん草にすり黒ゴマをかけて食べるだけでも、身体をうるおす効果を高めることが期待できますのでお試しください。
身体のうるおいは年齢とともに少なくなっていきますので、つやプラ世代の方が寝汗やほてりを感じるのは仕方がないことではあります。ですが、寝汗をかくと眠りの妨げになることも多いので、対策を知っておくと心強いですよね。今回ご紹介した食材を日々食べて、内側からうるおいアップを目指しましょう!
(薬膳ライフバランスプランナー/国際薬膳調理師/コラムニスト 倉口 ゆうみ)
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【参考】
※日本中医食養学会/著(2006年)『現代の食卓に生かす食物性味表 改訂2版』燎原書店※池田陽子/著(2020年)『1日1つで今より良くなるゆる薬膳。365日』JTBパブリッシング