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更年期の不調がラクになるお風呂の入り方

理学療法士/睡眠の専門家
矢間あや

夏はシャワーだけで済ませる方も多くなると思いますが、入浴には、自律神経を整える効果や更年期の不調を軽減する働きなど、メリットがたくさんあります。

更年期不調が楽になるお風呂の入り方

理学療法士の筆者が、更年期の不調をラクにするお風呂の入り方と注意すべきことをご紹介します。

■更年期障害とは

更年期障害とは、女性ホルモンのバランスの乱れによって自律神経が影響を受けて生じる、様々な不調や症状のことで、おもに閉経の前後5年にあたる「更年期」の女性に起こります。

頭痛やほてり、めまい、不眠など個人差はありますが、影響は心身全般に現れます。

卵巣から分泌される女性ホルモンのエストロゲンは、脳の視床下部と脳下垂体からの指令を受け分泌されます。
しかし閉経が近づき、卵巣機能が低下すると、脳からの指令通りの十分な量のエストロゲンが分泌できなくなります。
そのため視床下部はパニック状態に。

視床下部には、体温調整をはじめ、血圧、心拍、発汗などの生理現象を司る自律神経をコントロールする働きがありますので、視床下部がパニックを起こすと、ホルモンバランスと自律神経がともに乱れてしまい、突然カーッと汗が出たり体が熱くなったりするホットフラッシュなどの症状が出やすくなるのです。

■更年期世代の「冷え」問題

更年期世代は、とくに手足が冷たくなって、「厚い靴下を履いてもなかなか冷えが治らない」という方も多いのではないでしょうか。

自律神経の乱れからも冷えを感じやすくなりますが、女性は熱を作り出す筋肉の量が男性より少なく、もともと男性に比べて、冷えやすいのが特徴です。

この「冷え症」を単なる「冷え」と放置しておくと、更年期世代特有の女性ホルモンの減少に加え、体温調整などを司る自律神経のバランスの乱れにつながり、ますます更年期の不調を加速させてしまう可能性があります。

また、夏は外気温が体温より高くなる日もある一方、室内はクーラーで冷えて寒いという温度差により、自律神経の乱れやすい季節でもあります。

■入浴による3つの作用

自律神経が乱れると、交感神経と副交感神経の切り替えがうまくできず、とくに交感神経が優位になりがちになるといわれています。

湯船につかると疲れがとれ、副交感神経が優位になってリラックスした気分が味わえるのは、大きくわけて3つの作用が働くためです。

(1)カラダを温めて血流アップ・温熱作用

温かいお湯につかると、皮膚の表面温度があがり、血管から温まった血液が全身を巡り、血流がアップします。シャワーだけでは得られない作用の1つです。

(2)水圧でしめつけてむくみ改善・静水圧作用

お湯の水圧によって全身がマッサージされるような状態になり、血行が改善します。仕事などによりむくみやすい人はとくにおすすめです。

(3)筋肉や関節を緩めて緊張緩和・浮力作用

肩までお湯につかると浮力の関係で、体重は1/10程度になるといわれています。重力から解放されてリラックスでき、普段頑張っている筋肉や関節への負担も減少します。

■暑い夏にオススメの入浴方法&注意事項

お湯の温度はややぬるめ

暑い湯船に短時間つかり、一気に汗をかくのではなく、40℃前後の湯船にゆっくりつかり、体の中から温めるのがおすすめです。

ぬるめの入浴では、副交感神経が優位になりリラックス状態になり、血管が拡張します。

また、ぬるめのお湯はゆっくり入浴することが可能です。

熱めのお湯は、交感神経が優位になり、興奮状態になりやすいです。

「なかなか入浴できない」という方は、洗面器などに熱めのお湯を入れて、足部を温める足浴も効果的です。

入浴の前後には水分補給

入浴中は自然と水分がカラダから抜けていきます。入浴前後には必ず水分補給をしましょう。

「喉がカラカラの状態からの冷たいビール、最高!!」となりがちですが、実はこれはあまりおすすめできません。

アルコールには利尿作用があり、体内の水分を排出する方向にすすみます。喉がカラカラな状態で、体内から水分を排出すれば、脱水症状になってしまうことも。

水やノンカフェインの麦茶などがおすすめです。

就寝前1〜2時間前までに入浴完了が理想

人間は体温が下がっていく時に眠くなります。

就寝1〜2時間前に入浴すると、寝るころには体温が下がり、自然な眠気を感じられるでしょう。暑い夏は、体調不良を起こしやすい時期。しっかり眠ることはとても重要です。

不調が出ている時は、まず深呼吸をして楽になるのを待ってから入浴しましょう。ただし、疲労感が長く続く場合や夜眠れない状態が続く場合は、必ず一度医療機関で受診をしてください。思わぬ病気が隠れている場合も。自己判断は禁物です。

更年期特有の不調を上手に緩和しながら、夏の暑さを乗り切っていきましょう。

(著者/講師/理学療法士 矢間 あや)

 

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