40・50代の体調の悩みには、更年期が関係していることが多くあります。閉経をはさんだ前後5年間、計10年間にわたる更年期には、女性ホルモンの分泌量が変わってからだが大きく変化し、これまでになかった悩みも出てきます。
つらい更年期症状を和らげるためには、どのような対策が有効なのでしょうか。
横倉クリニック・健康外来サロン(港区芝)院長の医師、横倉恒雄先生、および薬剤師/臨床検査技師の木村英子さんに、更年期に起こる主な不調や、やりがちなNG対策、おすすめの対策方法について教えていただきました。
■更年期に起こる不調とは?
更年期に起こる主な不調として、ほてり、発汗、冷え、肩こり、頭痛、不眠などが挙げられます。
また、この症状が原因で日常生活にも支障が出てしまい、治療が必要になる状態のことを「更年期障害」 と呼びます。
以下、更年期に起こりがちな「ほてり」である「ホットフラッシュ」 について解説します。
■更年期のお悩みに多いホットフラッシュ
ホットフラッシュとは、加齢により女性ホルモンが減少し、顔やからだが短期的にほてる、脈拍数が一時的に増える、汗を大量にかくなどの症状が生じることを指します。
症状がひどいときには、汗をかきすぎてゆっくり眠れない、仕事も手につかないなどという場合もあります。
■ついやってしまいがち!ホットフラッシュのNG対策
ホットフラッシュにはどのように対処すれば良いのでしょうか。まずは、ホットフラッシュの対策として、ついやってしまいがちなNGの方法を紹介します。
全身を冷やす
「ほてっているなら冷やせばいい」 ということで、冷水のシャワーを浴びたり、冷たい飲み物を一気に飲み干したりして、からだを冷やそうとする方もいるかもしれません。
しかし、急にからだを冷やすと、かえって熱をぶり返してしまう可能性もあります。
また、「冷え」 こそ更年期症状のひとつでもあるため、ほてるからといってからだを冷やすのはやめるようにしましょう。
薄着になる
上記同様に、暑いからといって薄着で過ごすのも、からだを冷やす原因になります。
とくに暑い時期、オフィスや自宅などではエアコンがよく効いており、からだを冷やしてしまいがちです。
どんなに暑いときでも、さっと羽織れるストールやカーディガンなどを持ち歩いておくと良いでしょう。
また、脱ぎ着しやすい服装を選ぶことにより、体温調節がしやすくなります。
■手軽にできるホットフラッシュの改善方法
手軽にできるホットフラッシュの改善方法について、紹介します。
下半身を温める
更年期症状にありがちな傾向として挙げられるのは「上半身はほてっているけれど、下半身は冷えている」 というものです。これは自律神経の乱れによって起こる現象であり、体温調節がしづらくなることが原因です。
その結果、顔や上半身のみがほてり、ほかが冷えてしまうといった「冷えのぼせ」 という現象が起こりやすくなります。
足元や腰、おなかを冷やさないように温め、体温調節をしっかり行いましょう。
深呼吸をする
ホットフラッシュが起きると、短期間で大量の汗が放出されるため、思わず焦ってしまう方もいるかもしれません。
しかし、まずは落ち着いて、ゆっくり深呼吸をするようにしましょう。気分が落ち着くまで繰り返すことをおすすめします。
漢方薬を飲む
更年期症状(ホットフラッシュ) 対策には、産婦人科学会でも推奨されている漢方薬の服用もおすすめです。漢方薬は一般的に、西洋薬よりも副作用が少ないといわれているのが特徴です。
ホットフラッシュには、血管の収縮をコントロールしたり、自律神経を整えたりする漢方薬を選びます。
血液や水分などのめぐりを良くすることにより、自律神経が整い、免疫力が上がります。そうすることで、更年期の女性ホルモンの変動に伴って起きるいくつもの症状にアプローチすることができるのです。
さらに、疲れにくくなり、元気で心穏やかに過ごすこともできるでしょう。
更年期症状にお悩みの方におすすめの漢方薬
桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
上半身のほてり、下半身の冷えなどに悩む方におすすめの漢方薬です。血(けつ)の巡りを良くすることにより、「冷えのぼせ」へのアプローチを行います。
加味逍遙散(かみしょうようさん)
ホットフラッシュに悩む方におすすめの漢方薬です。倦怠感、苛立ち、精神不安などにもアプローチすることができます。
漢方薬にはさまざまな種類があるため、「どの漢方薬が自分に合っているのかわからない」 と悩む方もいるのではないでしょうか。
体質に合った漢方薬を飲まなければ、思ったような効果が得られないほか、副作用が発症してしまう恐れもあります。
自分に合った漢方薬が知りたいという方は、薬剤師に無料で相談でき、自分に合った漢方を選んでもらえる全国対応のサービスがありますので、活用してみるのもいいでしょう。
■しっかり対策してつらい更年期を乗り越えよう
顔のほてりや下半身の冷えなど、つらい症状が起こりやすい更年期ですが、しっかり対策をすれば乗り越えることが可能です。
また、プラスアルファで漢方の力を借りるのもおすすめなので、気になる方は自分に合った漢方薬をチェックしてみてください。
【監修医:横倉恒雄(よこくらつねお)先生 プロフィール】
医学博士/医師(婦人科、心療内科、内科など)。横倉クリニック・健康外来サロン(港区芝)院長。東京都済生会中央病院に日本初の「健康外来」を開設。故・日野原重明先生に師事。病名がないものの不調を訴える患者さんにも常に寄り添った診療を心がけている。著書『病気が治る「脳」の健康法』『脳疲労に克つ』他。
【漢方部分監修者:木村英子(きむらえいこ)さん プロフィール】
薬剤師/臨床検査技師/Vedic Healers Ayurveda basic course 修了。検疫所、病院にて公衆衛生・感染症現場を経験した後、インドでアーユルヴェーダに出会う。現在はAIを活用し、お手頃価格で漢方を自宅に届けてくれるあんしん漢方にて活躍中。
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