「アミノ酸」というと、筋トレをイメージする人は多いのではないでしょうか。もちろん、筋力アップにも効果的ですが、スキンケア効果や免疫力アップ、睡眠への効果も期待されています。
管理栄養士の筆者が、アミノ酸を効果的に利用するための方法をご紹介します。
■「たんぱく質」「ペプチド」「アミノ酸」の違い
「たんぱく質」は、アミノ酸が何個もつながってできています。その数は、なんと数十万~数百万! 「ペプチド」もアミノ酸がつながってできていますが、その数は数個ほどです。
たんぱく質は、ペプチドやアミノ酸に分解されて体内に吸収されます。
「必須アミノ酸」とは?
身体をつくるアミノ酸は20種類ありますが、以下のように2つに分類されています。
体内で合成することができない“必須アミノ酸”
・ロイシン
・イソロイシン
・リジン
・フェニルアラニン
・メチオニン
・トレオニン
・トリプトファン
・バリン
・ヒスチジン
体内で合成できる“非必須アミノ酸”
・チロシン
・アスパラギン酸
・アスパラギン
・システイン
・グルタミン酸
・グルタミン
・セリン
・プロリン
・アラニン
・グリシン
・アルギニン
必須アミノ酸は体内で合成できないため、食事などで摂取しなければなりません。通常の食生活では不足することは少ないといわれています。
■アミノ酸の期待できる効果4つ
(1)筋力アップ
筋肉トレーニングによって、一度、筋肉の細胞が破壊された後、回復する時にアミノ酸を摂取すると良いです。トレーニング後、30分以内に摂取するようにしましょう。
必須アミノ酸の「バリン」「ロイシン」「イソロイシン」の摂取がおすすめです。
「バリン」「ロイシン」「イソロイシン」が豊富な食品
・レバー
・プロセスチーズ
・あじ
・鮭
・鶏肉
・牛乳
(2)上質な睡眠
アミノ酸の一種である「GABA」にはリラックス効果、「グリシン」には安眠効果が期待できます。寝る前30分~1時間前に摂取しましょう。
そのほかにも、「テアニン」や「トリプトファン」といったアミノ酸の摂取も良いでしょう。
「GABA」が豊富な食品
・玄米ごはん
・漬物
・味噌
・キムチ
・かぼちゃ
「グリシン」が豊富な食品
・牛すじ
・えび
・かに
「テアニン」「トリプトファン」が豊富な食品
・緑茶
・紅茶
・牛乳
・レバー
・かつお
(3)美容効果
アミノ酸の一種である「チロシン」は、皮膚や髪の材料となります。「グリシン」は、抗酸化作用や保湿作用の効果が期待できるため、肌を健やかに保つために必要です。
「アスパラギン」は、新陳代謝を高める働きがあります。肌のターンオーバーを正常に導くため、美肌効果が期待できます。
「チロシン」が豊富な食品
・アーモンド
・大豆
・乳製品
「アスパラギン」が豊富な食品
・アスパラガス
・大豆
・牛乳
(4)免疫力アップ
「アルギニン」「グルタミン」には免疫力を上げる効果が期待できるといわれています。これからの季節、何かと体調を崩しがちですので、ぜひ意識して摂取してみてくださいね。
「アルギニン」が豊富な食品
・鶏肉
・大豆
・高野豆腐
・ナッツ類
「グルタミン」が豊富な食品
・海藻
・大豆
・トマト
・卵
・チーズ
■アミノ酸を効率よく摂取する方法
アミノ酸を効率よく摂取する方法をご紹介します。
「必須アミノ酸」を意識して摂取する
必須アミノ酸が不足すると、体内のアミノ酸バランスが変わってしまうといわれています。必須アミノ酸は、体内では作られないため、不足しないようにしたいものです。
食生活が乱れがちな人や食事制限中の人は、サプリメントや栄養補助食品でおぎなうのも良いでしょう。
アミノ酸を摂取する時は、「ビタミン」も一緒に
「ビタミンB6」や「ビタミンC」「ビタミンE」は、アミノ酸が体内で利用されるのをサポートする働きがあります。アミノ酸を効率よく利用するために、ビタミンも忘れず摂取しましょう。
「ビタミンB6」が豊富な食品
・さんま
・まぐろ
・かつお
・レバー
・豆類
「ビタミンC」が豊富な食品
・赤ピーマン
・芽キャベツ
・さつまいも
・レモン
・アセロラ
・キウイ
・柿
「ビタミンE」が豊富な食品
・アーモンド
・ヘーゼルナッツ
・落花生
・かぼちゃ
・うなぎの蒲焼き
筋力アップが目的の場合、「糖質」や「脂質」の摂取も忘れずに
身体は糖質や脂質をエネルギー源にしていますが、不足するとアミノ酸をエネルギー源にします。そのため、筋肉をつくる(たんぱく質合成)のに、アミノ酸を利用することができなくなります。
極端な食事制限はさけ、アミノ酸を摂取して筋力をアップさせましょう。
■食事とサプリメントは、どちらが効率的?
たんぱく質を摂取するとアミノ酸に分解する必要があるため、吸収するまでに時間がかかります。アミノ酸はそのまま吸収されるため、運動後すぐに補給したい時はアミノ酸の形になっているサプリメントやドリンクが良いでしょう。
体内での働きは、食事からでもサプリメントからでも変わりはないようです。
いかがでしたか? 目的に合ったアミノ酸を、効率よく摂取してみてくださいね。
(フリーランス管理栄養士 今井尚美
「根拠のある情報を」「体の内側から美しく」がモットー。健康や美容に関する記事執筆や相談業務などフリーで活動中。糖尿病療養指導士、ピンクリボンアドバイザーの資格有。現在はサプリメント管理士の資格取得中。)
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