腸活といえば、「腸を整える」というイメージを抱く人が多いのではないでしょうか。今、「腸を鍛える」という発想の腸活が注目されています。
管理栄養士の筆者が、最近注目されている「酪酸菌(らくさんきん)」についてご紹介します。
■新しい腸活!注目されている「酪酸菌」とは?
酪酸菌とは、食物繊維を分解して「酪酸(らくさん)」を作る細菌の総称です。酪酸を作り出せるのは酪酸菌だけで、乳酸菌やビフィズス菌には作れません。
酪酸は、大腸の粘膜上皮のエネルギー源となって、大腸の働き(水分の吸収、粘液の分泌、ぜん動運動など)を手助けします。
また、腸内の悪玉菌が発育するのを抑制し、乳酸菌やビフィズス菌が住みやすい環境を作るのに役立ちます。
■酪酸菌が腸を鍛えるメカニズム
以下の4つのステップで、腸が鍛えられます。
(1)酪酸菌が酪酸を作り出し、大腸の上皮細胞の代謝を活発にする。
(2)代謝が活発になると酸素を消費するため、腸内の酸素濃度が低くなる。
(3)酸素が苦手であるビフィズス菌などの菌が活発になる
(4)ビフィズス菌などの善玉菌の働きで、腸内の環境が良くなる
新腸活習慣の「腸を鍛える」に注目
これまでの腸活は、「乳酸菌やビフィズス菌などの「善玉菌」を摂取することで、腸内環境を整える」というものでした。しかし、酪酸菌を摂取し、酪酸菌が作り出す酪酸が大腸の細胞に働きかけることで、より積極的に腸内環境を改善するという新しい腸活が注目されています。
腸活は自分に合う菌を見つけることが大切ですが、これまで何をやっても合わなかったという人は「酪酸菌」を試してみても良いかもしれませんね。
■酪酸菌はダイエット効果も期待できる!?
酪酸菌が配合されたサプリメントを摂取すると、摂取していない場合に比べて「ウエスト」「ヒップ」「体脂肪率」「体重」「BMI」において、摂取前よりも改善したという研究報告があります。
腸活に加え、ダイエット効果も期待できるのは嬉しいですね。
■酪酸菌を増やすには何をすれば良い?
食事
食物繊維を摂取することは酪酸菌にエサを与えることになるため、有効とされています。酪酸菌そのものを含む食品は、ぬか漬けや臭豆腐しかなく、食品から摂取することはむずかしいようです。
酪酸菌入りのサプリメントなどでおぎなうと良いでしょう。
運動
運動をすると、酪酸菌が増えるということが報告されています。1日30分、少し息があがる程度の運動で良いそうです。
有酸素運動(ウォーキングやサイクリングなど)も有効といわれています。
■腸活は根気強くつづけましょう
腸内環境を整えるには、早くて2週間、長くて1年ほどかかるといわれています。乳酸菌、ビフィズス菌、酪酸菌などの菌がありますが、自分に合った菌を探してみましょう。
まずは、2週間同じ菌を摂りつづけることで身体に良い変化を感じるか、試してみましょう。
(フリーランス管理栄養士 今井尚美)
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【参考】
※酪酸菌と酪酸について詳しく知る 注目を集めている「酪酸」って? – 武田コンシューマーヘルスケア
※腸内フローラを整える整腸剤とは? – ビオフェルミン製薬
※酪酸菌配合サプリメント摂取による痩身効果(PDF) – 医事出版社