更年期になると、肌質が変化してシミやかさつき、かゆみなどの肌のトラブルを抱えがち。これまで使っていた化粧品が急に合わなくなることもあります。
40代以降は肌質の変化を意識したメンテナンスに取り組み、肌トラブルの予防を心がけることが大切です。
「更年期の肌質の変化にあったメンテナンスを実践したい!」という方のために、今回は、横倉クリニック・健康外来サロン(港区芝)院長の医師、横倉恒雄先生、および薬剤師/臨床検査技師の木村英子さんに、「更年期の肌質の変化に対応したメンテナンス」について教えていただきました。
■更年期における肌質変化の悩みとは?
更年期以降に訪れる肌質の変化により、以下のような悩みを抱えることがあります。
・シミが目立つようになる
・肌のカサつきが気になる
・かゆくなる
・肌のハリツヤがなくなる
このような悩みを解消するためには、肌質が変化する理由を正しく理解して、適切な予防方法を実践することが大切です。
■更年期に肌質が変化する理由
更年期に肌質が変化する理由のひとつとして、女性ホルモンの1つであるエストロゲンの減少が考えられます。
エストロゲンが減少すると、コラーゲンの減少やターンオーバーの遅れが生じて、肌に関する悩みを抱えがちになるのです。
肌質の変化に影響を与える3つの要因について、解説します。
コラーゲンの減少
エストロゲンには、皮膚に潤いや弾力を与えるコラーゲンの生成をサポートする働きがあります。
そのため、エストロゲンが減少するとコラーゲンも減少。その結果、皮膚にハリツヤがなくなり、シワが目立ちやすくなります。
ホットフラッシュ
エストロゲンが減少すると、更年期障害のひとつであるホットフラッシュに見舞われる可能性があります。
ホットフラッシュは閉経期の女性によく見られ、急激な体温上昇や頻発する発汗が特徴です。
汗が皮膚に刺激を与え、ピリピリとしたかゆみを感じやすくなります。
ターンオーバーの遅れ
皮膚の新陳代謝として知られるターンオーバーも、エストロゲンによって機能が維持されています。
そのためエストロゲンの減少は、ターンオーバーが遅れる要因のひとつとなるのです。
ターンオーバーには紫外線による表皮細胞へのダメージを軽減する作用があるため、遅れることで、紫外線によるシミの増加が目立つようになります。
■更年期の肌トラブルを予防するメンテナンス方法
更年期の肌質の変化を予防するためには、次の5つの点を心がけてみてください。
(1)ぬるめのお湯で入浴する
高温のお湯は、乾燥による肌のかゆみやトラブルの原因となるため、入浴の際は40度以下のぬるめのお湯につかるようにしましょう。
また、長時間の入浴は避けて、10分くらいの短時間で済ませることも大切です。
入浴後はタオルで皮膚をこすらずに、優しくぬぐうと肌への負担を軽減できます。
(2)紫外線対策を行う
紫外線対策を行う場合は、晴れや曇りに関わらず、常に紫外線で肌がダメージを受けることを意識する必要があります。
日中に外出する場合は、必ず日焼け止めを肌に塗布し、帽子を着用するようにしましょう。
UVカット機能のついた、長袖の衣服やサングラスを着用するのも有効です。
(3)大豆を食べる
大豆イソフラボンは、腸内でエクオールと呼ばれるエストロゲンと類似の働きをする成分に変換されるといわれています。
そのため、納豆や豆乳などの大豆製品を積極的に取ると、エストロゲン減少の予防効果が期待できます。
サプリメントなども利用しながら、大豆イソフラボンを効率よく摂取するといいでしょう。
(4)睡眠時間を確保する
睡眠は、肌のターンオーバーを促す成長ホルモンの分泌に影響を与えます。
そのため十分な睡眠時間を確保すると、ターンオーバーの促進が期待でき、シミの予防につながります。
また、睡眠時間とともに睡眠の質を高めることも大切です。
就寝前のスマートフォン利用を避けたり、アルコールやカフェイン、脂質の多い食事を控えたりして、睡眠の質を高めるように心がけましょう。
(5)保湿を徹底する
更年期になると、乾燥しやすい肌質へと変化する傾向にあります。
肌がカサカサしてかゆみを伴う場合は、保湿が足りていないのかもしれません。
その場合は、保湿力の高い美容液や化粧水を使ったり、入浴や洗顔後の保湿を丁寧に行ったりして、いままで以上に乾燥対策に力を入れるといいでしょう。
■肌質が変化する更年期は漢方薬の服用もおすすめ
更年期に起こる肌質変化の悩みを抱えている場合は、漢方薬を試してみるのもおすすめです。
更年期症状の治療法としては、ホルモン補充療法(HRT)がよく知られています。
HRTとはエストロゲンを補い、更年期障害を改善する治療法です。
しかし、更年期の症状が比較的軽度だったり、他の病気などの影響でHRTを受けられなかったりする場合は、漢方薬を利用するのもひとつの手段です。
実際に、自然由来の治療薬である漢方薬も、更年期の標準治療として婦人科などで処方されています。
漢方薬は、更年期症状の原因となる、血流や自律神経、ホルモンバランスの乱れを整えることで、心身の不調の根本改善を目指します。
更年期の肌トラブルにおすすめの漢方薬
桂枝茯苓丸加薏苡仁(けいしぶくりょうがんかよくいにん)
更年期障害に効果が認められている桂枝茯苓丸に、皮膚のあれに効果がある薏苡仁を加えた漢方薬です。
血流をよくして上半身の熱を冷まし、肌に栄養を届けることで、更年期の肌荒れの改善が期待できます。
また、皮膚のあれの他に、肩こりや頭重、月経不順、更年期障害、シミ、にきびなどにも用いられる漢方薬です。
慢性的な肌トラブルに悩んでいる場合は、中長期的な服用で、体質からの改善を目指しましょう。
■更年期の肌は内と外からのメンテナンスが大事
更年期はエストロゲンが減少するため肌質が変化して、シミやかゆみ、かさつきなどの悩みを抱えがちになります。
今回紹介したメンテナンス方法を実践して、肌質の変化に対応していきましょう。
【監修医:横倉恒雄(よこくらつねお)先生 プロフィール】
医学博士/医師(婦人科、心療内科、内科など)。横倉クリニック・健康外来サロン(港区芝)院長。東京都済生会中央病院に日本初の「健康外来」を開設。故・日野原重明先生に師事。病名がないものの不調を訴える患者さんにも常に寄り添った診療を心がけている。新刊本『今朝の院長の独り言』(青春出版社)は10万人の患者が癒されたポジティブなメッセージに溢れていると話題に。
【漢方部分監修者:木村英子(きむらえいこ)さん プロフィール】
薬剤師/臨床検査技師/Vedic Healers Ayurveda basic course 修了。検疫所、病院にて公衆衛生・感染症現場を経験した後、インドでアーユルヴェーダに出会う。現在はAIを活用し、お手頃価格で漢方を自宅に届けてくれるあんしん漢方にて活躍中。
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